金曜日, 3月 07, 2025

Illustratorのオーバープリント設定を整理

質問がありましたので・・・
Illustratorでのオーバープリント設定の有無について整理してみました。

サンプルとしてIllustratorで上の様なデータを作成しました。
サンプルの色は・・・
オレンジの円:M50%、Y50%
ブルーの四角:C50%
グリーンの四角:C50%、Y50%
イエローの星:Y50%
文字:K100%

これをオーバープリントで印刷すると・・・

最初にスミ版

次にシアン版

その結果

次にマゼンタ版

その結果

最後にイエロー版

最終結果

デフォルトで印刷すると・・・
最初にスミ版

次にシアン版

その結果

次にマゼンタ版

その結果

最後にイエロー版

最終結果

ところが、このデフォルト設定で印刷したときに運悪く見当ズレが発生すると、上の様に見苦しい状態になります。特に細かい文字の場合は致命傷になります。見当ズレとは、印刷時に各色の版(C・M・Y・K)が正しく重ならず、ずれてしまう現象です。これにより、文字や線がぼやけたり、色のフチがズレて二重に見えたりすることがあります。特に小さな文字や細い線では影響が大きく、印刷品質が低下します。防止策として、黒(K100%)のテキストにはオーバープリントを適用し、トラッピングを設定することが有効です。また、印刷前のプリフライトチェックや色校正で事前確認することが重要です。

ただし、見当ズレが発生しなければスミ版の濃度差が出ることはありません。

それではオーバーレイプリントがベストなのか?というと、上図のように重なる版の関係でスミ版の濃度(見た目)に差が出てしまいます。

※オーバーレイプリントの確認は[表示]>[オーバーレイプリント]で確認できます。


こんな感じです。そこで、定番処理として、K100%にC1%を追加するとオーバーレイプリント設定でも濃度差はクリアされます。イラストなどで綺麗な黒を演出したいときはリッチブラックで対処します。リッチブラックとは、K100%(純粋な黒)にC(シアン)やM(マゼンタ)を加えて、より深みのある黒を表現する手法です。通常のK100%は若干薄く感じることがあり、大面積の黒を印刷する際にはC40%+M30%+Y30%+K100% などを加えることで、濃くリッチな黒を再現できます。ただし、小さな文字や細線では見当ズレを防ぐため、K100%のみの「オーバープリントブラック」を使用するのが一般的です。適切な設定を行い、印刷前に確認することが重要です。

なお、[ファイル]>[カラーを編集]>[オーバープリントブラック]で調整出来ます。オーバープリントブラックとは、黒(K100%)を下地の色を抜かずにそのまま重ねて印刷する手法です。これにより、見当ズレを防ぎ、隙間が生じないようにする効果があります。また、C(シアン)やM(マゼンタ)を少量加えた「リッチブラック」をオーバープリントすることで、より深みのある黒を表現できます。しかし、黒以外の色をオーバープリントすると意図しない混色が発生する可能性があるため、事前の「オーバープリントプレビュー」で確認が必須です。

黒以外の色に関しては、[ウィンドウ]>[属性]>[塗りにオーバープリント]で設定します。塗りにオーバープリントを設定すると、下地の色を抜かずにそのまま重ねて印刷されます。特に黒(K100%)はオーバープリントが推奨され、印刷のズレ(見当ズレ)を防ぎ、文字や細い線がくっきり仕上がる効果があります。しかし、CMYKの他の色をオーバープリントすると、意図しない混色が発生し、仕上がりが予想と異なる場合があるため注意が必要です。印刷前には**「オーバープリントプレビュー」やプリフライトチェックでの確認が重要です。