月曜日, 6月 23, 2025

Illustratorでのアピアランスとスポイトツール考

質問がありましたので・・・
Illustratorのスポイトツールは、ときとして切替が必要です。デフォルト設定ではオフで、ラスタライズしたり置した画像の任意の場所の色を抽出または適用を行うことが出来ます。私はこのデフォルト設定が基本です。

■抽出(吸い取る)
選択していないオブジェクトをクリックすることで、そのオブジェクトの属性(色、線、透明度など)を拾う。これは「この色やスタイルが欲しい」とスポイトで情報を取り出す(抽出)動作で、その属性がスポイトに記憶される。塗りや線の色はツールパレットに自動登録されます。

■適用(スポイトで塗る)
option(Mac)またはalt(Windows)を押しながらクリックすると、スポイトに記憶された属性をクリックしたオブジェクトに「塗る」(=適用する)で、選択中またはクリックしたオブジェクトに、保持していた属性を反映させます。

スポイトツールで緑の四角をクリックすると、その属性がツールパレットの塗りに自動登録されます。つぎに、青い四角をoption(macOS)またはalt(Windows)を押しながらクリックすれば緑色に切り替わります。また、青い四角を選択し、緑色の四角をクリックしても色は切り替わります。

スポイトツールをダブルクリックすると表示されるオプションパレットの状態は上の様になっています。

ここで、[アピアランス]にチェックを入れると・・・
アピアランスの全設定を別のオブジェクトに反映させることが出来ます。
「B」を選択した状態で、アピアランス設定をした「A」をスポイトツールでクリックすれば、全アピアランス設定が反映されます。非常に便利なのですが、注意点もあります。

※Illustratorでアピアランスを多用すると、意図しない色落ちや、回転時の変形など、予期せぬ問題が発生する可能性が高いです。アピアランスで設定したK100%の塗りが、オーバープリントによって意図せず背景色を透けさせてしまうこともあります。アピアランスで設定したドロップシャドウやワープ効果は、オブジェクトを180度回転させると、効果が反映されずに元の位置と逆になってしまうことがあります。

上のサンプルの構造は上図の様になっていますが・・・マスターデータとして保存後に入稿データでは[オブジェクト]>[アピアランスを分割]を実行した方が安全です。

上段がアピアランス設定の状態。
下段がアピアランスを分割した状態です。
処理後はレイヤーで確認した方が良いでしょう。

上はアピアランス分割前の状態。

上はアピアランス分割後の状態。

ということで、入稿データの場合はアピアランスを分割です。